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いつもと変わらない約束だった。
学校から帰って、友達の家で暗くなるまで遊んで。
「またな」
「うん、明日学校で」
次の日も、いつもの通り学校では先生の目を盗んでお喋り。
(今日は晴れたから、秘密基地に行って何をしようか?)
(僕のスマートフォンを持って行くからさ、君はやっぱり標本キットを持ってきなよ)
(何が捕まえられるだろ)
(一昨日は最高だったな。大きなミヤマカラスアゲハ、捕まえられたね)
(ちゃんと綺麗に翅を広げて、標本にしてあげたから)
徳野君は小学生の癖に親からスマートフォンを与えられていて、それで検索しては昆虫の種類を調べている。重い図鑑を持たなくても良いし、動画も見られるしで凄く羨ましい。
家の親なんか、いくら頼んでも『まだ早い』の一言で終わりだからね。
(今日もミヤマ捕まえられると良いなあ、あの翅はママの持っている宝石みたいだよ)
(へえ、何て宝石)
そこで徳野君は机の下でそっと操作したスマホの画面を見せてくれた。
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