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綺麗な宝石が映っている。
ブラックオパール。
黒地に虹色の輝きを纏った宝石。きちんと管理しないと脆い石だと有った。
一度どこかをタップすると、ゆっくりと画面の宝石は回転し始める。
角度を変える度にキラキラも変化して、思わず魅入って身体を乗り出し先生に注意された。
悪いのは徳野君もなのに、彼は怒られない。
お金持ちの家の子って良いよな。欲しいものは何でも買って貰えるし、ちょっと悪い事していても先生だって目を瞑る。後で親に叱られるのが嫌なんだ。
ウチの子に限ってそんな事はしませんって。
(じゃあさ、今日は学校終わったら、秘密基地な)
(うん、また後でね)
約束したから走って家に帰り着いて、ランドセルを放り投げて標本キットを手に取る。
その隣には一昨日翅を広げてピンに止めたミヤマカラスアゲハ。
翅の煌めきに、ブラックオパールの遊色効果で輝く映像と、先生の怒った声が思い出される。
ちぇ、徳野君ちなんか貧乏になっちゃえば良いんだ。
そうしたらスマホも持てないし、先生に特別扱いもされないだろうに。
徳野君は色んなもの見せてくれるし、使わなくなった物くれるから仲良くしているけど。
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