最悪と最愛

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「ふーん?・・・それで色々考えてる広大くんは、宿題は解けたのかな?」 「・・・・・・まだ」 「あらら」 本当にあららだよな。 「・・・・・・何だと思う?」 「本当に分からないの?」 「分かりません」 きっぱりと言い切った俺を、未来は呆れた顔で見た。 「分からないんじゃなくて、分かろうとしてないだけでしょ」 棘のある言葉にグサリと胸を刺された。 「本当に相手の気持ちになって考えたら直ぐに分かると思うけど?」 「・・・未来は分かるの?」 「さあ、どうかな。私は当事者じゃないから何ともね」 曖昧にはぐらかす未来に詰め寄る。 「ヒント」 「あのねぇ」 未来は呆れた声音の後「質問」と手を挙げた。俺はどうぞと答えて先を促す。 「広大くんは本気でその人のことが好きなの?」 見つめる目に、心の奥まで見透かされそうになった俺は、思わず視線を逸らした。そんな俺の様子に溜め息を一つ零して「成る程ね」と未来は一人納得する。 「・・・何が成る程なんだよ」 居た堪れない思いに尻がむず痒くなる。胸の内に沸き起こる、この感情の正体は何だろう。 「広大くんは他力本願で、自分の気持ちを誤魔化し、相手の気持ちも蔑ろにする最悪な男なのだと言うことが分かったから・・・成る程よ」 「最悪?」 「そう。あんたの元カレ並みにね」 未来の言葉は俺の胸に突き刺さった棘を、更に深く突き刺していった。
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