嘘つきな私と彼

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 次の月になって、来客があった。 アサヤを待っていた私の前に現れたのは、元旦那だった。 老けたな、と思う。 カッコ悪い猫背も、目じりのシワも、ダサいファッションも本当に昔のままだ。 「……やあ、ヨル」 「老けたわね、あんた」  思ったままの感想をズバリ言うと、相手は少しショックを受けたような顔になる。まさか、今になってもまだ自分のことをイケ男だと思っていたのだろうか。 「これでも、オシャレしてきたんだけどなァ……」 「用事は何? 私とあんたは気安く会うような関係ではないはずよ。お金だって貸してやらない」 「用事はね、特にないかな」  へらりと笑った元旦那に、苛立ちがMAXになる。 別れる直前はあんなに険悪だったくせに、何を今さら私の目の前に現れたというのか。 「今朝ね、夢を見たんだ」 「……夢?」 「君と出会ったときの夢でね、久しぶりに会いたくなった」  こんなロマンチストな人間だったっけ? 遠い目をした元旦那のいうことがどこまで真実なのか疑問に思う。それを普通は世迷言というのだと、言ってやった方がいいだろうか。
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