第1章

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目を開けるとそこは上野の公園だった。 そうだ。 僕は昨日、利用している小説投稿サイトのオフ会に行って、浴びる程酒を飲んで、そのまま酔いつぶれてしまったんだ。 ああ、ちょっと調子に乗り過ぎたな。仲良くして頂いている作家さん達に失礼な事をしてしまった。 特にS水の兄さんには、とんでもなく迷惑を掛けてしまった。 本当ごめんなさい。 「でも、可愛かったな。…兄さん」 僕は舌なめずりをして1人ほくそ笑んだ。昨夜の彼の味を思い出したのだ。 「そうだ、今度謝りに行こう。直接。フフフ」 日差しの暖かさと、公園を訪れる人の数から、もうとっくに昼なのだろうと、僕は重い腰を上げた。 目の前に丁度良い噴水があったので近づく。 徐に、水をすくい、バシャバシャと顔を洗った。 まだ水は冷たく、否応なしに頭が冴え渡る。 二日酔いなのか、喉が渇いていたので、ゴクゴクと直接水を啜った。 「プファー、生き返るわい」 その時だった。 「ほう、なかなか素質のある若者じゃな」 「ん?」 振り返り声の主を確認する。 「噴水の水を飲むとは、やりおるわい」 某々に伸びた髪と髭、黒く汚れた顔にギョロ目、黄色い歯を見せて笑っていた。 浮浪者の方だろうか。 汚れて破けたボロボロのダウンジャケットを着ているが、素足に直接履いているスニーカーに、僕は違和感を感じた。 「わしは、スニーカーの神様じゃ」 やはり浮浪者の方だったか。彼等は、よく自分の事を神様と呼ぶ。 しかし、スニーカーの神様とは。 僕はその靴の事を訊いてみた。 「その靴、ウデックスのレース用ですよね、おじさんマラソン走るんですか」 靴ひももイアンノットで結んであった。 「うむ、そう見えるが、これは全然違う。 何しろこの靴は魔法の靴、マジカルスニーカーなのじゃ」
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