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サラの装備選定は結局そこそこの長さを要した。
彼女が選んできた装備は樫の木でできた杖に白が基調となっているローブと三角帽。それを身に着けた容姿はまさに”魔女”といった感想を抱かせる。
ただサラの身長があまり高くないこともあってか、それは少し大きく感じられた。
「すみません、そのデザインであまっているサイズはそれが一番小さいものでして……」
「うーん、少し動きにくいけど……そんなに違和感はないですから」
「ふふ、それなら良かったです。それにお似合いですよ」
「えへへ……」
受付嬢はにっこりと微笑んでサラの姿へ肯定的な感想を示す。
サラもまんざらではない様子だ。自分が選んだ装備なのだから当然といえば当然なのだが、やはり他人から褒めてもらえると嬉しいのだ。
「さて、これで大まかな作業は完了しました。こちらをどうぞ」
受付嬢は一枚のカードをサラに手渡した。
そこにはサラの名前、クラスなどをはじめとした冒険者としてのステータスが記されている。
冒険者証。憧れていた冒険者となれたことを証明するそのカードは、サラの目には輝いて見えた。
「これであなたも冒険者です。サラさんはこれから簡単なものから危険なものまで、様々なクエストをこなしながら生活することになります。時には命が危機にさらされることもあるでしょう。どうかお気をつけて」
「……!はいっ!」
目を輝かせた少女は両手で杖を握り締め、明るく返事をする。
希少な果物の採取、魔物の討伐、時には悪魔の軍勢との戦闘……これから胸躍る冒険が始まるのだ。
この世界に、また一人の冒険者が誕生した。
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