少女、フリーターと出会う

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「どうしようかなぁ……」 憧れた冒険者生活、その初日。 サラは早速ひとつの壁にぶち当たっていた。 「うーん……ギルドかぁ……」 サラが見つめる先には多種多様なギルドがメンバーを募集する旨を記載した掲示板。初心者歓迎、プリースト募集中……掲示板に貼り出された紙にはそんな文字もちらほら見られる。 ギルドはこの世界の冒険者にとって生活の要となる組織だ。 冒険者は依頼されたクエストをこなし、その報酬で生計を立てることになるのだが、そのクエストの大半はギルド宛に届く。 そういったギルドクエストは依頼されたギルドのメンバーでなければ受諾することができない。そのため、冒険者がギルドに属することはほぼ必須であるといえる。 もっともギルドに入ることには当然メリットもある。クエスト報酬の数割がギルドに入る代わりに、宿と食事が保障されるのだ。 単純に食費や宿代が浮くために、冒険者にとって非常にありがたいシステムになっている。 また、ギルド内であればパーティーも組みやすい。冒険者になったばかりの初心者にとってパーティーは必須事項だ。強い冒険者と一緒になればおのずと成長も早くなる。 ……と、いった旨を昨日の受付嬢から説明され、ギルドを探していたサラなのではあるが。 「うう……多すぎて決まらないよ……」 掲示板に貼り出された募集要項は非常に多く、それでいて似通ったものばかりのためにサラは所属するギルドを中々決められずにいた。 「こんなことならもっと勉強してから来れば良かったなぁ……」 サラは親から許しを得た瞬間に飛び出してきた身だ。冒険者への憧れだけを胸に抱いて焦りすぎたことに少し後悔を覚えた。
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