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「うーん、でもこの三つの中から選ぶにしてもどれにするべきなのかなぁ」
お勧めしてくれたはいいのだが、それでも迷ってしまうサラ。装備の件から思っていたのだが、冒険者になってから優柔不断になることが多くなっているかもしれない。
しかし他の冒険者はどうやってギルドを決めているのだろうか?もしかしたら尊敬する冒険者が居て、その人のギルドに……とか、あるのかもしれない。
反面サラには今のところそういったものはない。やはり勉強不足が響いてきたか。
「あ……そうだ!サラさん、ギルドを決めかねているならいいものがありますよ!」
と、どうにも迷いを振り切れない様子だったサラに、セレナが一枚の紙を見せてきた。見たところクエストの依頼のようだが、サラの知るそれとは少し違う様子だった。
「なんですかこれ……グランドクエスト?」
「ギルド関係なく受けられるうえに、非常に沢山の冒険者が参加する大規模なクエストです。複数のギルドが参戦するのでこれに参加して所属するギルドを決めてみてはいかがでしょう?」
「ほー、そんなものが」
サラはクエスト概要を受け取り、まじまじと眺める。
目的は街に近づいてきている魔物の群れの迎撃と排除。魔物一匹につき5000リトス……と、報酬金はまだ狩りができそうもないサラには関係のないところだろうが。
「そういったグランドクエストは大抵の場合ギルドのアピールの場になります。新人を引き込むのは勿論、報酬の高いクエストを依頼してもらうためのです。なのでここからギルドを決める新人さんも多いんですよ」
「そうなんですか?なら参加してみようかな……」
その話を聞く限り、初心者が参加しても問題はなさそうだ。依頼内容もそうそう難しいものでは無いし、ド素人の自分でもあまり足を引っ張らずにすむだろう。最悪後ろで各ギルドの観察だけしていればいいのだ。
「そう……ですね。じゃあせっかくなので参加してみます!」
「了解しました、では手続きを行っておきますね。開始は明日になるので、今日のうちに準備をしておいてください。細かい予定は追って連絡します」
そういうとセレナは窓口のほうへ戻っていった。
「私の初クエスト……」
どうせなら自分が活躍できるものが良かったが、それでも胸躍る初陣だ。
楽しみな感情を抱きつつ、サラは道具の購入のため街へ繰り出していった。
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