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そして翌日、サラはクエストの集合場所といわれたアヴェントの西門に足を運んだわけ……なのだが。
「あらあらあらあら、ヒュグロンの皆様じゃあないですか?どうしたんです?我々の活躍を指をくわえながら見るために来たんです?」
「ああ!?んだてめぇふざけてんのかステレオンギルドの分際で!前回こっちが戦果をあげたからって嫉妬でもしてんのか?」
「戦果?あんなものを戦果と?たかが9匹の差で勝ったつもりでいられては困りますねぇ。それにこちらにはけが人が一人も出ていなかったことをお忘れなく」
「ふん……血気盛んな奴らだ。よくそうやってすぐに喧嘩ができるものだな」
「はぁ!?何いきなり口挟んできてんだ?お前アトミスギルドのもんか?」
(す、すごいぎすぎすしてる……)
……先ほどからそんなやりとりがずっと聞こえてきている。正直関係ないこちらまで気まずい。
あの会話を聞く限りどうやら勧められた三大ギルドの者で違いないようだ。どうやら実力は拮抗しているようだし、覇権のためにもお互いに負けられないのだろう。
だからといってこんな小競り合いをするのはどうかと思うのだが。
「皆、今日こそは頑張って魔物を沢山倒すぞ!僕らのギルドをもっと有名にするんだ!」
「おー!」
別の方向では5人ほどの男女が集まっていた。リーダー格と見られる男の号令に続いて戦闘前に気合を入れているようだ。
先ほどの3人に比べると装備が少し安いものに見える。まだ小さいギルドの所属なのだろう。
「そっか……ここで活躍できれば街の人から信頼されて、高額な報酬のクエストも依頼して貰えるんだ」
セレナが言っていたように、確かにギルドのアピールの場となっているようだ。
「あるぇ?君、新米?」
「へ?」
クエスト依頼を獲得する意味でも、新人を獲得する意味でも。
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