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「えっと……魔力適正はプリースト、属性は白、ですね」
紙に新しく記入されていた項目は正式な冒険者IDおよび魔力適正とその属性である。
魔力適正や属性は物理攻撃を得意とする戦士や武術家といったクラスにはほとんど無縁のステータスではあるが、魔法職である魔術師にとってはその後の道を大きく左右するものだ。
メイジとプリースト、攻撃に生きるか回復に生きるか……そしてどんな魔法を覚えていくのか。魔術師志望には非常に重要となる瞬間だ。この結果を聞いて戦士か武術家に転進するものも多くいる。
「プリースト……ですか」
「ご不満でしたか?」
「いえ、そういうわけじゃ……でも、攻撃魔法を生業にするのもよかったかなって思いますけど」
「心配ありません。メイジとプリーストはあくまでも単なる指標です。攻撃と回復どちらが得意か、というだけなので攻撃魔法でも十分戦えますよ。特に白属性は回復中心ですが強力な攻撃魔法もあります」
「本当ですか!?」
「習得には結構な経験が必要になりますが」
「う……」
悪魔たちをバタバタと魔法で焼いていく姿に憧れていたサラとしては少々腑に落ちない結果だ。しかも白属性である。
白属性というのは今言われたようにほとんどが回復魔法で構成された属性だ。強力な攻撃魔法があるといわれたものの、そこへの道のりが遠いということは明白である。
「でも白属性のプリーストというのはどのパーティーでも重宝される存在ですから、案外すぐにレベルもあがりますよ」
「そ、そうですか……?」
「はい!ですから心配しないでください!さあ、次は装備を支給しますよ」
「……はい!」
装備の支給、という言葉にサラは再び目を輝かせた。
……全く、浮き沈みが激しい子だ。
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