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水晶の部屋を出た二人は再び廊下を歩いた。
「うわぁ……!」
そうして案内された部屋は先ほどとは違う大きな部屋。そしてサラにとって圧巻ともいえる部屋だった。
その部屋には多くの武器や防具が並んでいたのだ。
戦士が使うであろう剣や鎧をはじめとして、杖、魔道書、ローブにマントといった魔術師用のものも所狭しと並んでいる。
あたりを見てみると、自分と同じ何人かの新米冒険者が違うスタッフの案内で防具の試着をしている姿が見えた。
「こちらからあなたの初期装備となるものを支給します。自由に見ていただいていいですよ」
と、言ったときにはすでに隣にサラはいなかった。
「ああ……これ可愛いなぁ。あ、でもこっちもいいかも……」
「早い……」
サラはこの部屋に入った瞬間、選定を開始していたのだ。
ずらりと並んでいるローブをひとつ手にとっては戻し、ひとつ手にとっては戻しの繰り返し。これだけ見ると休日にショッピングを楽しむだけの少女にしか見えない。
「さ、サラさん、あまり時間をかけないでくださいね……」
「は、はい!少し待ってください、この中からひとつ……うう、どうしようかな……」
「もう……」
受付嬢は楽しそうにローブを見て回る白髪の少女を見て、思わずため息を漏らした。
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