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リーナは去年と同じ中洲のある公園の川縁をミヤと歩く。去年と同じ着物を着て。去年の秋頃から流行している紺と緑の間の微妙な中間色に縦に縞が入り、華やかに百合の花が彩る着物地は、今年もまだ着てる女の子もいて、定番の流行に落ち着いたようだ。
ミヤは去年と同じような将族の服。
去年の大失態を受けて、今回はイベント参加なし、完全自由行動。
それでも出席しないといけない最低限のイベントはパパであるキイズ公が全部引き受けてくれた。かわいい女性ときれいな女性とおいしいものがそろってて、”派手な女性関係”の彼向きの仕事である。
「今回は午前中にまた巡回とかしたの?」
「うん。上長とガクとね」
「あー、ちょっと会いたかったなぁ」
「上長もそう言ってた」
「去年より顔を知ってる人が多いからね」
ちえ。
「我慢してください。」
手を繋いでいるリーナの右手をミヤが軽く自分の口元にもってくる。
右手首にはまってるブレスレットがするりと位置をずらす。
ちゅ。
わざとブレスレットの存在を示すように。
今日みたいな宮服が着れないときの代替え品のブレスレットは、細い金を三つ編みにしただけの主張の強くない細工物。ミヤの表紋も入ってる。
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