TK=Tear of Kings(悲しい未来)

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ミヤと人気のあまりなさそうな、でも、花火の見える場所にたどり着く。 二人きりと言っても、どうせ、カナムイはその辺に隠れているだろう。 「そこに座ってて」 ミヤが近くのかき氷の屋台にふらふらと吸い寄せられていく。 「あたし、いちご」 ミヤの背中に向かってリーナが注文する。 「OK」 すぐ近くの石垣に座る。今回は場所取り完璧。角度もたぶんOK。 暗くてすぐ近くに人がいたことに気づかなかった。 「お一人ですか?」 聞き覚えのない声。声のした左側を向く。 若い男性。濃い紫色の着物、ちょっと形が変わってる。 「え、あ、あっちに」 右側奥にあるかき氷の屋台にいるミヤを見る。 「あ、いた」 「てゆっか、あのひと、いっつもああやって迷うけど、さ」 「最後はいっつも、いちごじゃん」 その言い方に驚く。 「隆史くん?じゃないよね?」 「違います」 でもそっくり。 「宮服きてないけど、今何歳ですか?」 あたしを知ってるのに、あたしの年齢を訊く不自然。 「14歳。」 「あ、じゃあ、候補になった後」 落ち着かずに着物の柄の百合を見つめる。 「その着物、お気に入りですよね」 ミヤにはタメ口で、あたしには敬語。 「お名前を伺ってよいですか?」 思いきって訊くと、 「僕たち兄弟全員、青い色の名前なんですよ」 「へえ、珍しい」
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