8話「異世界でバトルドレスを着て魔法を練習」

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「あ、そうだ。ところでさ……」  瑞輝はポケットから、エミナへのプレゼント用に買った、ウサギのガラス細工が入った袋を取り出した。その袋の中から更にガラス細工の本体を取り出す。 「これ、あっちの世界で買ったんだ」 「わ……かわいいー!」  エミナが、ガラス細工に顔を寄せてまじまじと見始めた。 「ネックレスもあるんだよ」  瑞輝は袋から更に、ウサギのガラス細工に紺色のヒモを付けたネックレスを取り出した。 「へぇ、そっちもいいね。尻尾の部分にヒモが付いてるんだ」 「ああ……そうかも」  ウサギの後ろに平べったい部分があって、そこの穴にヒモが通されている。見かたによっては、確かに尻尾にも見える。 「白くて透き通ってて綺麗……赤い目も可愛いね。くりっとしてて」  表面は透明だが、中心部は薄い白で色づけられている。目は、くりっとしているというか、点なのだが、赤いガラスが癒着されている。耳は楕円系の緑色のガラスだ。……緑色? 「かわいい雪ウサギだね、ありがとね」 「うん……雪ウサギだね、これ」  これも今まで気付かなかったが……まあ、普通のウサギと大して変わらないだろう。こっちの方がかえってマスコット的にデフォルメされていていいかもしれない。 「ガラス細工、選んでよかったかも」  エミナは、ネックレスの部分を持ってぶら下げながら、いろんな角度から覗き込んで見ている。結構、気に入っている様子だ。そういえば、これを買う帰りに、ばったりと駿一たちと出会った。瑞輝が、ついこの間のことを思い出す。正直、あっちの世界に帰って暫くは、あの時の幻を……駿一に責められ、殴られる幻を思い出して、ちょっと怖かったが……時が経つにつれて、それにも慣れた。  エルダードラゴンが分析するには、幻は瑞輝の心の底の負の感情が見せたものらしい。瑞輝の正の感情と負の感情を巧みに刺激し、心を闇の側へと追い落とす罠だったのだそうだ。だとするならば、結局、駿一は変わっていないということだ。だったら、瑞輝の方が自然でいなければ、駿一に余計な気を使わせてしまうことになりかねない。  気を付けないと……。瑞輝は心に決めた。
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