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梓の頭に普段の丿卜の様子が思い描かれる。丿卜は、何も用事が無い時は、いつも寝転がってテレビを見ていた。昔の人らしくもなく、霊らしくもない丿卜の様子を、梓は時より微笑ましく眺めていた。
「しからば、このGOはいずこへと行くという意味のことを示してはおらんのかな」
「んー……どこかに行けっていうことなのでしょうか」
梓は巫女服のポケットから写真を取り出し、改めてまじまじと見た。
「それっぽいと解釈できるものはあるですけど……」
そこには血溜まりに浸かった指が写りこんでいる。
GOから少しだけ離れた血溜まりに人差し指が置かれる形で、写真には写っている。
「この指が何かを指しているとしたら……」
写真と実際に書かれているGOの字の角度とが合致するように、写真を見ながら移動する。
「ここから、こう、指さしてるということですから……」
それらしい角度で見える位置に移動した梓は、指の方向を近くから遠くへとずらし、それに伴って視点もゆっくりと移動させて見ていく。
「あれくらいでしょうかね」
ぴたりと止まった梓の指の先には、ここよりも狭い小道がある。
「左様にござるな。他に目立つものも無い故、その脇道を行くのが得策であろう」
小道の両側には石造りの塀と、その隙間から見える生け垣、更に内側にあるであろう、庭に生えている木が見える。閑静な住宅街にある、日常的な風景だ。
「そうですね。今のところ、特別なものは見当たらないですねぇ」
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