7話「丿卜夕二」

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 梓の頭に普段の丿卜の様子が思い描かれる。丿卜は、何も用事が無い時は、いつも寝転がってテレビを見ていた。昔の人らしくもなく、霊らしくもない丿卜の様子を、梓は時より微笑ましく眺めていた。 「しからば、このGOはいずこへと行くという意味のことを示してはおらんのかな」 「んー……どこかに行けっていうことなのでしょうか」  梓は巫女服のポケットから写真を取り出し、改めてまじまじと見た。 「それっぽいと解釈できるものはあるですけど……」  そこには血溜まりに浸かった指が写りこんでいる。  GOから少しだけ離れた血溜まりに人差し指が置かれる形で、写真には写っている。 「この指が何かを指しているとしたら……」  写真と実際に書かれているGOの字の角度とが合致するように、写真を見ながら移動する。 「ここから、こう、指さしてるということですから……」  それらしい角度で見える位置に移動した梓は、指の方向を近くから遠くへとずらし、それに伴って視点もゆっくりと移動させて見ていく。 「あれくらいでしょうかね」  ぴたりと止まった梓の指の先には、ここよりも狭い小道がある。 「左様にござるな。他に目立つものも無い故、その脇道を行くのが得策であろう」  小道の両側には石造りの塀と、その隙間から見える生け垣、更に内側にあるであろう、庭に生えている木が見える。閑静な住宅街にある、日常的な風景だ。 「そうですね。今のところ、特別なものは見当たらないですねぇ」
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