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杉村の態度が、急に高圧的になった。
「邪魔?」
「素人は下がっていろという事だ。今回も付け入る隙を見つけて金欲しさに現れたのだろうが、霊能者などという詐欺師の協力は受けん」
「ええと……私は警察から捜査を依頼されて調べているんですが……」
「ならば俺から依頼しよう。霊能者など要らん。邪魔だから退去してもらおうか」
「要らないって……杏香さんからは、警察とは協力関係だって聞きましたけど……」
「あの女か……あんな外部の奴に頼らなくたって、俺達だけでやれるのに……いいか霊能者、それは非現実的な考えを持った一部の頭のおかしい連中が、楽をしたいだけで如何わしい奴の手を借りたがっているだけだ。我々は現実を見て捜査せねばならない」
「それはそうですけど……現実的な観点でどうにかならない時の私であってですね……」
「だから、その役割は要らないと言っているだろうが!」
杉村は苛立ちを露にさせたような声色で、吐き捨てるように言った。
「この世の中には限られた人しか見れない現象や、科学では証明できない事があるんです。この事件がもし迷宮入りするようなことがあったら、私達の出番なんです」
「そうならないために、こうして捜査しているのだ。お前みたいな奴が邪魔すると、捜査が捗らずに打ち切られるのだよ」
「心霊や呪い関係なら、貴方達警察がいくら捜査しても、科学的……つまりは物質的に証拠が出ずに未解決事件になってしまうかもです。だから……」
「これだけの事が起きているのだから、証拠が出ないわけないだろう! 未解決事件になったら、それはお前が邪魔したからだ。我々はこの事件ばかりを追っているわけではないのだぞ、無駄な時間を割いている余裕は無いのだ!」
「でも……」
「これ以上妨害すれば、公務執行妨害で現行犯逮捕するぞ!」
「一応、警察からの許可証は貰ってるんですけど……」
「一部の非常識な人間の独断だ! そんなもの受け取れるか!」
全くの平行線。梓は諦めることにした。杉村さんはどうしても、梓をこれ以上、ここに居させたくないようだ。
「……しょうがないです。帰るですね」
「致し方なしか。味方同士が争うていても、事は進まぬからな」
梓は丿卜に対してこくりと頷くと、踵を返して歩き出した。
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