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城ヶ崎高校3年のとある教室のひととき―
春風の心地よく流れていくそんな中、
佐々木桜は一人本を読み耽っている。
それこそまるで世界から隔離されてしまっているかのように一人静かと...
もし昨日までの僕なら、きっと彼女を気にかけることなど先ずもってあり得なかっただろう。
ましてや、彼女に話しかけるなど奇跡が起きてもあり得ない。
だが、僕は見てしまったのだ。
同じクラスのいじめっ子高梨曜が、覆面の男達にスタンガンで気絶させられ車で連れ去られる所を。
いや、正確には連れ去られる所までは見ていない。
というのも、彼女がスタンガンで気絶させられ車に運びこまれようとしたその時――――
僕の、首筋にもスタンガンが添えられていたからだ。
「動くな」
鋭く、だがとても澄みきった声の主を見ようと振り返ろうとした瞬間
首から全身にかけて強い電撃を受け、意識が遠のいた。
薄れゆく意識の中で、佐々木桜は僕の耳に近ずき
「内緒よ」
囁いた。
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