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巡りあい
遠い日に悲しく散った恋は歴史を超えてよみがえった。
あの梅の木は大きくなりその地域では少し噂になる木になっていた。
少年はギターを背負い直して梅の木をあおいだ。
ふっくらとした蕾がついている。
もうすぐさきそうだ。
「ヒロシ!」
少女が学生鞄を振り回しそうな勢いでかけてくる。
幼いころから二人は一緒にいる今こうしてミュージシャンと高校生に別れても。
「もう咲きそうだよ茜。」
少女の名は変わらない。
「うん、ほんとだ。ばあちゃんが言ってたけどこの梅の木もう今年が最期の花じゃないかって。」
梅の木は見届けた遠い日に散った恋がみのるのを…………最期の花を咲かせた。
『サヨナラ、何時までも二人でいてくださいね。茜姫様、辰之助様。』
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