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少女に声をかけられたキアは、さっきの青いひとみの少年が言っていた自由の国のことを思い出しながら答えました。
「いいえ、ここはキロの国です。さっき自由の国からきたっていう少年に会ったのだけれど。」
「ここは自由の国ではないのね…。その少年はどこ?われわれはそこくをおわれてしまって、自由の国へとぼうめいしなければならないのです。」
「うーん、どこだろう?その少年は急にいなくなってしまって…。」
「どうしよう、はやく自由の国へとわたらないと、われわれはきょうせい収容所へとつれていかれてしまうわ。」
「ねえちゃん、もうぼくにげるのつかれたよう。」
キアと同い年くらいの男の子は、泣きながらお姉さんらしき少女にだきついていました。お姉さんらしき少女は、男の子の頭をさすりながらなだめ、続けてキアに質問をなげかけました。
「もうちょっとまっててね、アブラハム。われわれはきっと自由になれますから。そうだ、おじょうさん、この、キロの国?には自由はありますか?ここに自由があれば、わざわざ自由の国にまでいかなくてすみます。」
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