きみょうなつりばしと山小屋

5/6
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
 その少女の質問に、キアは少しなやんでしまいました。今のこのキロの国の帰りみちのまちは、なんだかようすが変です。じっさい、キアはこのじょうきょうに不自由を感じていたのでした。ちょっとだまりこんで考えたあげく、キアはこういうふうに答えました。 「キロの国は、もともととっても自由なところよ。だけど、最近ちょっとね、ほんのちょっと不自由になっているの。でも、すぐにもとの自由が戻ってくるわ。」 それを聞いた少女は、すこしけげんな顔をしたかと思うと、しずかに、力なく言うのでした。 「みんな、どこの国でもそこくにたいしてそんなことを言うわ。われわれのこきょうも、もとは、自由の国となのっていたそうよ。でも、それがいつのまにか第三帝国とよばれ、われわれのようなことなる血を持ったものは自由をうばわれるようになってしまったの。われわれが真に自由を手にいれるためには、だれにたいしても自由をほしょうしてくれる、自由の国にどうしてもいかなくてはならないようね。」 そう語る少女のひとみには、ぜつぼうときぼうのいりまじった、あおじろいほのおのようなものがうかびあがっていました。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!