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そんなつよい思いにかられて、いちばん星のあかりをたよりに、どんどんどんどんとくらがりのなかを進んでいくと、キアのつよい願いがマルティン・ペスカトーレの神につうじたのか、キアの家の近くのふうけいがあらわれました。
つい数日前にキアがとおった場所なのでしたが、もう何十年も前のきおくのようでした。
「やっと、ここまでたどり着けた…。あともうちょっと。あの角をまがれば…。」
キアはもう力の入らなくなった足を、もつれそうになりながらも、あせる気持ちをおさえて、いっぽいっぽすすんだのです。
そして、キアの家のほんの手前の角をまがり、もうそこにはずっと待ちこがれていたなつかしのわが家がある、と思ったしゅんかん、キアは思いえがいていたこうけいとちがう現実をまのあたりにして、おどろいてしまったのでした。
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