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(おかしいな、道はぜんぶ、おぼえているはずなのに。わたしの帰るおうちは、西だったっけ?北だったっけ?南だったっけ?南南西だったっけ?西北西だったっけ?それともあのいちばんかがやいている、きれいなお星さまの出てきた、まっすぐ東の方向だったっけ?)
キアは、あのきんいろにかがやくいちばん星がとても気になったので、こくいっこくとくらくなっていく空を見あげながら、とぼとぼとあるっていきました。
(あれ、おかしいな。このまちにこんなところ、あったっけ?ここをぬけると…。ああ、ここはたしかに見おぼえのあるこうさてんね。)
キアは、十年前にこの“帰りみちのまち”に生まれてからこのかた、ずっとこのまちで育ち、このまちのようち園や学校で学び、ずっとこのまちの公園や山川で遊び、ずっとこのまちのパパママの待っている小さなおうちに帰ってくらしていたのでした。
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