29人が本棚に入れています
本棚に追加
『え? まさか。コイツ、まだチョコレートを狙っている??』
よほど腹が空いているのか?
それとも、チョコレートが大好きなだけなのか?
答えが後者であったとしても、紙袋の中には何十個というチョコレートが入っている。
一人で食べきれる量ではない。
とはいえ、彼の口からは大量の涎が溢れだしている。
まさか。
いや。
マジか?
俺は意を決して尋ねてみた。
「まさか……まだ欲しいのか?」
そういうや否や、ロックバンドのコンサートでよく見かける高速ヘドバンのように、頭を上下に激しく振り出す男のあまりの狂気じみた様に、思わずたじろいだ俺は、「あ……じゃ、じゃぁ、やるよ」といって、二つある紙袋のうちの一つを彼に差し出した。
すると、目にも止まらぬ速さで紙袋を奪い取り、中身を漁りだした男は、むしゃむしゃと一心不乱にチョコレートをむさぼりだした。
そのあまりの豪快な食べっぷりは、見ていて胸ヤケがするほど。
あれよあれよという間に、紙袋一杯のチョコレートは完食されてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!