ブルーチョコレート

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後ろから来た近藤にそう言われた。ちなみにうつみんとは私のあだ名である。由来は『うつみん……』と近藤の授業中の寝言が原因である。 「〇〇さんも早くしないと……」 私はそう言った。 彼女は頷き、そして教室に三人とも戻ったのである。 私は脳裏で考え事に襲われていた。 (ここで会った〇〇さんってさっきのポスターの〇ちゃんと同じ?となると名前は〇〇〇さん?しかも同じクラスでメガネをかけてない人で絵が上手い女子生徒……誰だ!!) 私はまた封筒のフタをめくってみる。 そこには 『飼育小屋においで。早くしないと取られちゃうよ』 と書かれていた。 私はこの文字を見て思った。 (取られちゃう?これはまさか食べ物……チョコレート?つまりニワトリやウサギが食うってことか?それは最悪だ) 私は玄関口を出てグランドの近くにある飼育小屋に走って着く。そこにあったのは扉に挟まれた例の封筒だけだった。 (チョコは?) 私はそう思ってウサギたちを睨む。そこには相変わらずのかわいらしい姿でニンジンを頬張ろうとするウサギたちがそこにいた。 私は封筒を取って中身を見る。 またフタ部分に 『ひとまずこの続きは放課後ね。早くしないと遅刻しちゃうわよ?』 と書かれていた。 それを読み終えて足を校舎に向けた瞬間、予鈴がなった。 私は全速力で教室に戻った。 そして何とか間に合ったのである。 授業中に私は手紙の主について毎回考えていた。 近藤は何も報告していないようだ。 しかし遠くから一人だけになんかエールを送っている。 私はその子を見ようとしているが、一度も見れなかった。 そして放課後直前の最後の授業で記憶が思い出された。 それはポスターの子と近藤に出会った時の子が同一人物であるという決定付ける者だった。 それは秋の美術の時間だった。 『秋のイメージを抱くモノ』を描けという課題だった。 私はその子の絵をたまたま目にしてしまった。 「うまいね。川に流れる楓の葉」 「は?別にいいでしょ?」 その子がそう言った時だった。その絵を見たいがために周りのクラスメイトや先生が集まってしまった。その子は耳を真っ赤に染めていた。 それがきっかけである時、彼女は私にこう言った。 「いつか復讐してやるんだから、覚えてなさいよ」と。 なるほど、復讐か。 放課後、私は玄関口の下駄を眺めていた。
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