銀色の砂浜

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「ね? キミは私の体を貫くことを望んでいたの?」 ボクはそれに答えず、黙って卵に目をやった。 卵はもうすぐ孵(かえ)るだろう。その証拠に、卵は細かく振動し始めた。 ――キャンタタタ……キャンタタタ 幾多の鈴が同時に鳴るように。 音符がその音から飛び出てきた。 音が八方に飛び散り、しかし群れのように隊列を組むと、その形は、見事なメロディを奏でた。 最後にそれらが卵に降り注がれると、卵の上の部分が欠けてきた。
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