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そして、ひろしたちは魔王城に入り込んだ。ここから冒険の始まりだ。
「み、みんな気をつけろよ……」
いざ魔王城に舞台が移ると、震えてしまう。
「ひろし君、心配しなくても僕たちもついてるさ」
ジュリアスは親指を立ててスマイルを浮かべた。
「うん。頼りにしてる……本当に頼りにしてるからなっ!」
ひろしはまだレベル一である。
魔王城の廊下は薄暗い。光源もない。しかし、ダンジョンはしっかり見渡せる。ご都合ファンタジー仕様であった。
「古いゲームだと、ダンジョンに灯り欲しかったりするんだよな」
呟くが、そういう仕様ではないようである。
「ププ~ひろしさんビビってるですか~? タマナシがっ!」
「………」
セレナの豹変ぶりに戸惑うが。
「な、なめんなよ! オレはヌルゲーマーじゃないからな! クソゲーだろうがなんだろうがクリアしちゃるわいっ!」
うそぶいてみた。
「ひろし~本当に無茶しなくていいからね。まだレベル一なんだから」
「レベル一、レベル一ってそう言うなよ」
ひろしは先頭を歩いている。一番前を歩いていると攻撃を受けやすかもしれないが、勇者は先頭という拘りがあるのだ。
魔王城の廊下は真っ直ぐに続いている。モンスターが出たら戦うんだろうなとしかたなく思った。
自分の装備は鉄の剣のみで、防具は買えなかった。
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