4

2/8
前へ
/196ページ
次へ
 そして、ひろしたちは魔王城に入り込んだ。ここから冒険の始まりだ。 「み、みんな気をつけろよ……」  いざ魔王城に舞台が移ると、震えてしまう。 「ひろし君、心配しなくても僕たちもついてるさ」  ジュリアスは親指を立ててスマイルを浮かべた。 「うん。頼りにしてる……本当に頼りにしてるからなっ!」  ひろしはまだレベル一である。  魔王城の廊下は薄暗い。光源もない。しかし、ダンジョンはしっかり見渡せる。ご都合ファンタジー仕様であった。 「古いゲームだと、ダンジョンに灯り欲しかったりするんだよな」  呟くが、そういう仕様ではないようである。 「ププ~ひろしさんビビってるですか~? タマナシがっ!」 「………」  セレナの豹変ぶりに戸惑うが。 「な、なめんなよ! オレはヌルゲーマーじゃないからな! クソゲーだろうがなんだろうがクリアしちゃるわいっ!」  うそぶいてみた。 「ひろし~本当に無茶しなくていいからね。まだレベル一なんだから」 「レベル一、レベル一ってそう言うなよ」  ひろしは先頭を歩いている。一番前を歩いていると攻撃を受けやすかもしれないが、勇者は先頭という拘りがあるのだ。  魔王城の廊下は真っ直ぐに続いている。モンスターが出たら戦うんだろうなとしかたなく思った。  自分の装備は鉄の剣のみで、防具は買えなかった。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加