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「そういえば、お前ら装備ゴツくないか?」
ひろしは振り替えって、仲間たちの装備をしげしげと見た。
「わたしは武道家だから、素手で攻撃するけど、マジックドレスとスターバンダナを装備してる」
「僕は、ウィザーズロッドと天使の法衣と賢者の帽子を装備してるよ」
「セレナはグレート包丁とタイタンのエプロンとドラゴン三角布を装備しているです~。しかもタイタンのエプロンは伝説の防具です~」
アリシアたちは顔を見合わせて笑い合う。
「厨二臭い名前の、強そうなアイテムで固めやがって……」
ひろしはわなわなと震えた。
「だってわたしたち、ひろしが召喚される前から装備整えてたもん。ねー」
「ねー」
アリシアたちは頷きあった。
「にしても、初期の所持金五千円はないだろ。何も買えなかったし!」
「ひろしさん~五千円じゃなく五千Gです~」
「どっちでもいいわ! 本当はシャイニングスパイクソード欲しかったのに! 十ニ万五千円ってどういことだよ! 中古の軽自動車みたいな値段つけやがって!」
「ひろし、その剣の名前も厨二……」
「とにかくっ! アイテムとかドロップしたら、オレ優先で装備するよ!」
「まぁ、そうなるでしょうけど……」
とにかく一行は魔王城を進んだ。今のところは、別れ道も階段もない。ひろしは紙にマッピングをしている。
「………」
紙に通路を書いているだけだが、実は少し楽しんでいた。本格的な冒険みたいだと。
「モンスターの姿が見えないな」
通路は不気味に静まりかえっている。
「あ、ひろし君! いい忘れていたけど、このゲームは基本シンボルエンカウントじゃないからね」
「それ早く言えよ! まったくなにも考えないで進んでたよ!」
しかし、ゲームにはよくあるシステムだ。モンスターと遭遇しても、仲間の装備は強そうだし、まだ序盤だし、大丈夫だろうと思った。
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