GP計画

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 そうは言うが、一応ベキスタは友軍だ。ワスとしても完全に無視は出来ない。ワスは今、ベキスタに向かいターボブラスター砲を構えたウージーを狙った。ショートブラスター砲を放ち、ウージーの隠れている工廠を撃つ。ウージーはターボブラスター砲を構えてワス達を狙って来た。ワスはそれを待っていた。敵が攻撃の為に姿を見せた時がチャンスだった。ワスはショートブラスター砲で一気にそのウージーを撃った。だが距離が有り、ショートブラスター砲では効果的なダメージを与えられなかった。  しかしそれもワスの計算通りだった。ワスはロングテールスタビライザーを展開すると、後部メインノズルを噴かして、そのまま加速した。その左腕にはカスタムスライサーが握られている。ワスが接近戦を仕掛けに来ていると分かったそのウージーは狂ったようにターボブラスター砲を連射して来るが、狙いが甘かった。ワスはそれを全て避けると、スライサーを振り下ろした。その斬撃を敵はダガー状スライサーを使わず、矢張りターボブラスター砲を使い妨害しようとする。外れたターボブラスター砲の極太赤色熱線が、地面を穿つ。ワスはそれを軽く回避すると、遂にそのスライサーの刃がウージーの首を刎ねた。ウージーは力を失い、そのまま倒れて行った。  これでベキスタ機を狙う敵機は一時全滅した。ベキスタはそれを有難迷惑だと言わんばかりに鼻息を荒くして、ワス達から離れて行こうとした。 「敵の総大将は分かるか?」  それはキースからの通信だった。キースは随分と敵地の奥に攻め込んでいたらしい。 「いえ、まだ分かりません」 「だったら片っ端から攻め滅ぼすまでだ」  キースは喜々としてそう述べた。余程戦いが楽しいと見えた。ワスはそんなキースのやり方が良いとは思えなかった。何も全滅させる必要は無いだろう。敵の指揮官さえ潰せば、それで敵を無力化出来る。そうワスは踏んでいた。 「ワス、まだ敵が来るよ」テレサが注意を促す。「二時の方向にカイルビーが三体。攻めるなら早い方が良い」 「ああ、分かっているよ、テレサ。良し、一気に潰そう。援護してくれるかい?」 「勿論よ!」 「ベキスタレッドリーダー、決して無茶は為さらないで下さい。貴方が死んだら、困る人も大勢いるんでしょ? だったらその責務を果たして下さい」  ラクサミーに続きベキスタまで死ねば、バイオラがどういう反応を示すか分からない。或いは、ワス達にまた無謀な弔い合戦を命じる事も有り得る。それは避けたい所だった。 「言ってくれるね、ワス・ライトオンダー。私はそう簡単には死なないよ、見ていなさい」  ワスはそれを聞き、今暫くはベキスタを一人にしても大丈夫だと判断した。彼はテレサが見付けた三機のカイルビーに向かって行った。ショートブラスター砲を連射し、敵の動きを封じに懸かる。カイルビー達は順番にシールドミサイルを放った。ワスはそれをショートブラスター砲で撃ち墜とした。どんどんと爆発が起こる。 「そんな子ども騙し、僕には効かないよ!」ワスはスライサーを構え、突進をして行った。カイルビー達はそれを三機で相手するようだった。だがワスにはそれは見え見えだった。「テレサ、後ろから撃って!」  ワスはスライサーのグリーンのビーム刃を相手のカイルビーに叩き付けた。それを一機のカイルビーがシールドで守った。グリーンの光の粒子が飛び散る。そんなワスを囲い込もうと残った二機のカイルビーが迫って来る。だがそれをテレサがブラスター砲で攻撃した。カイルビー達はそれを回避するか防御するかしてワスを狙う事が出来なかった。  その隙にワスはスライサーを思い切り振り、彼が相手しているカイルビーの盾を弾いた。カイルビーの胸元に隙が見える。ワスはそれをグリップから発生させた短いビーム刃で突いた。その攻撃で哀れなそのカイルビーの胸が穿たれた。  一方カイルビーの残りの二機は、テレサを攻めようと狙っていた。どちらもブラスター砲を放ちテレサの機体を墜とそうとしている。 「やらせるか!」  ワスは加速し、そのカイルビーの内の片方に斬り掛かった。カイルビーの攻撃はそれで中断された。ワスに対応するべくそのカイルビーがスライサーを抜刀した。だがそれはワスにすれば遅過ぎた。ワスはカイルビーのスライサーの本体を叩き割った。ボンと炸裂し、カイルビーの右マニピュレーターの中でスライサーの筒状の本体が機能しなくなっていた。そしてワスはそのカイルビーが二本目のスライサーを抜く前に、一気に勝負に出た。スライサーを横薙ぎに払って、カイルビーのコックピットブロックを狙った。その斬撃で、カイルビーは胸を斬り裂かれた。それでパイロットが死んだ事は言うまでも無い。 「テレサ!」  一方テレサはランツォラのスライサーを使いカイルビーの盾と戦っていた。カイルビーはシールドを上手く使い、テレサの斬撃を弾き続けていた。だがテレサは怯まず攻めの手を止めない。次々にスライサーを叩き付け続ける。カイルビーの盾をごり押しで突破するつもりらしい。その効果は出ていて、カイルビーの盾には細かいコーティング剤の剥離が見えていた。
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