GP計画

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 しかし、ギガントパピリオも所詮はハイプレッシャーだ。戦闘に出れば当然撃墜される恐れも出て来る。フラットの体験上、無敵のマシーンなど存在はしないと言えるだろう。それはフラット自身であってもそうだと考えていた。フラットは未だ敗れ知らずの戦果を挙げて来たが、それでも何時かは身体の衰えが現れ、誰かによって破られる日が来るかもしれない。ガッハは強力なマシーンだったが、それを破られる可能性が零な訳では無い。その事は考慮して行いと行けない。  ギガントパピリオは確かに火力に富むマシーンだと言える。全身に武器を宿し、その圧倒的パワーで圧し切る事は不可能では無い。しかしながら、それを突破するパイロットがいない事は無いだろう。実際フラットは、あの若きライトオンダーならばこのマシーンを倒す事も難しくないと思える。それをフォローするべく、フラットは今出撃しているのだ。 「それで何処を撃つつもりだ?」 「敵の押さえた拠点に一撃浴びせるのが良いでしょう」 「候補は有るのか?」 「今そこを把握しようとしている所です。どうやら南半球ではベトレイヤーに押さえられてしまった都市の幾つかが有りますね。それを一つ見せしめに沈めてやりましょう」 「任せる」 「では、こちらでターゲットを探って置きます」  フラットはそのサビレスの操縦者に任せる事とした。色々穴が有る事は言えるが、それでもこの一撃の威力の前に、ベトレイヤーに協力しようと思う者は減るだろう事は事実期待出来る。またはベトレイヤー自体に直撃を浴びせる事も可能だろう。フラットはその光景を楽しみに待つ事とした。  バルバダシティ攻略はいよいよ最終段階に入っていた。ワスはテレサと連携をし、次々と敵機を討った。マオも健在で良い動きを見せていた。 「テレサ、あのカイルビーをやるよ」 「分かったわ。ミサイルで牽制する」  ランツォラのミサイルがカイルビーに向かって進む。カイルビーはスライサーを抜き、それを切り払って来た。だがそれが隙を生んだ。次の瞬間、ワスはスライサーを構え、そのカイルビーの懐に潜り込んだ。そしてそのままそのカイルビーの右腕を斬り捨てた。カイルビーはスライサーを保持したまま、ブラスター砲ごと右腕を失った。 「やったな!」相手パイロットの怨嗟の声が聞こえる。  だがワスは攻撃の手を緩めない。そのままスライサーを振り回し、カイルビーを細切れにして行った。 「見事だよ、ワス!」  テレサが賞賛の一声を送って来た。ワスはちらりとランツォラの脚部を見た。ランダムストレートが開いていたからか、矢張り熱が籠って爆発する気配は見せていない。ビビアン達のやっている事は正しかったのだろう。これでランツォラは正式にヴィクトールの戦力に数えても良いかもしれない。 「テレサ、僕はウージーをどうにかする。君は撃たれないようにして」 「ワス、付いて行くわ。ウージーにだってミサイルは効果的にダメージを与えられるはずだから」 「うん、そうしてくれると有難い。でも墜とされないでね」 「それは私の台詞でも有るわ。ワス、無茶はしないで」 「勿論。敵機の残りは少ないと見える。ここで一気に攻め切ろう」  ワスはそう言うと、町中をスラスターを使い、一気に加速して行った。テレサのランツォラがそれに続くのが分かる。敵は町の被害なんか気にしていない。それはだが、こちらの部隊も近い物が有る。  と、サイロの裏にレザを見た。バズーカ砲を構えていたそれは、ベキスタの物だった。ベキスタ機はサイロに隠れながら、バズーカ砲で一機ずつ順番に敵機を沈めて行っていたようだった。  しかし、敵の攻撃がそのサイロに集中していた。サイロの上部が爆発で吹っ飛び、ベキスタ機はそこに身を隠す事が難しくなっていた。 「ワス?」 「テレサ、レッドリーダーを援護する」 「レッドリーダー? 任せて大丈夫じゃ無いの?」  ベキスタ機は、敵の集中砲火を浴びていた。どうやら隠れて撃った事が仇となり敵のヘイトを一気に買ってしまったようだった。 「駄目だ、放って置けない」  ワスは、ジャンプするとベキスタ機を狙うガロに向かいショートブラスター砲を使った。一機がそれで直撃を浴び、ガラガラと崩れた。 「レッド5?」ベキスタが思わずこちらに注意を向ける。 「レッドリーダー、援護します。何とか敵機を振り切って下さい」 「君の援護なんか必要じゃあ無いんだけどね」 「強がりを言っていないで。足を止めたらハイプレッシャーはただの的ですよ」  ワスはそう言いつつ、次のガロの頭部を吹き飛ばした。そのガロは射撃体勢をホールドしたまま仰向けに倒れた。 「ふん、貸しを作ったつもりかい?」 「何とでも思って頂いて結構です。ですが、ここで貴方を失う訳には行きません。一度そこから動いて下さい」 「癪だけど従うよ」  ワスは、そんなベキスタ機と敵機の間に降り立った。そして、脚部装甲下から拡散ハンドグレネードを取り出した。それを思いっ切り投擲した。爆弾は、空中でパッと散ると、そのまま小型クラスター爆弾として広範囲に爆発の火を広げた。但し空中で爆発した為、町の建物その物を木っ端微塵にする事は無かった。それでも建物の屋根が吹き飛ぶのは避けられなかったが。
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