GP計画

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 敵のガロ部隊は、そんなワスの攻撃に自分達が危険だとは考えなかったようだった。そのまま前に出て、ブラスター砲を発射して来た。 「前に出て来ちゃ駄目だよ!」  ワスは早速それを狙う。ショートブラスター砲の一撃が、相手のガロの内の一機の左足を圧し折る。更にそこに、ランツォラも加わる。ランツォラもブラスター砲を使い、敵機の接近を許さない。ベキスタ機がその隙に、サイロの裏から出るのが見えた。ワスはそれを援護する。だがベキスタはそのワスの援護を受けて下がる事を選ばなかった。バズーカ砲を構え、ワスの後ろから敵機に向けてロケット弾を撃って来た。それはワスの攻撃で左足を失ったガロに命中した。 「レッドリーダー、何をしているのです!? 一度体勢を立て直して下さい」 「その必要は無い。今はこのまま攻めるべきだ」  ベキスタはもう一度バズーカ砲を放った。そのロケット弾が、真っ直ぐ敵の別のガロに襲い掛かる。ボンと爆発が起き、炎の球が発生する。 「やったか!?」  だが、そのガロはまだ生きていた。どうやら左腕を犠牲にして本体を守ったのだ。そのまま右腕ブラスター砲を放ってベキスタを狙い出す。 「ちい、ミスしたか」 「レッドリーダー、もう良いでしょ? 一度僕等の後ろに下がって下さい」  ワスはその左腕の欠けたガロにショートブラスター砲を連射した。そのガロは回避運動に出ていた。ワスはスナイパーモニターを睨み、そしてタイミングを見計らって、赤色レーザービームを放った。それを相手は急制動を掛けて回避して行く。だがワスはそれが狙いだった。 「テレサ!」  テレサのランツォラがワスの横でブラスター砲を放った。その鋭いレーザー光線はガロの腰を溶解した。ガロは上半身と下半身に分かれて、無様に転がってそしてそれぞれ爆発した。 「良くやったよテレサ!」 「ううん、これくらい。レッドリーダー、ご無事ですか?」 「余計な真似を。私は一人で大丈夫だったのに」 「強がりを言ってどうするのです? あのままサイロに隠れていても敵に狙い撃ちされるのがオチです。そこから脱せただけでも良いでは無いですか。それともベキスタレッドリーダーにはそれすら覆せる作戦でも有ったと言うのですか? だとすれば僭越ながら申し上げるとそれは貴方の驕りです、レッドリーダー。あの状態でワスと私が援護に入らなければ、当然レッドリーダーは無事では済まなかったでしょう。それくらいお認めになられては如何ですか? ワスに命を救われる事がそんなに嫌ですか? そんなちっぽけなプライドで戦場を勝利で飾れると思わないで下さい。そこまで甘い世界では無いと貴方が一番良く分かっていると私は思っていました。それは私の買い被り過ぎだという事になりますが、それで本当に宜しいのですか?」 「言ってくれるじゃないか、テレサ・ユーデリカ。その新しいマシーンを与えられて少々気が大きくなっているな。そういう君こそ、ライトオンダーの援護が無ければ何も出来ない程度の腕前の癖に」 「それだからこそ、ベキスタレッドリーダーにも自身の危機をワスに救われた事を認めて貰いたいのです。ワスは私達の希望です。それは単なるシンボルとしての機能だけでは無く、戦場で実力の有る兵士だという事でも言えます。ベキスタさん、悔しい事だとは思いますが、自分の欠点を認める事もレッドリーダーとして必要な事だと思いませんか? 決して驕る事の無いパイロットにこそ皆が付いて行くという物です。実力はそこまで重視されていません。謙虚さはリーダーたる物に必要不可欠です。そこをレッドリーダーが率先して皆に知らせるべきです。皆がそういう意識を持てば犠牲はより減るでしょう。そこを理解して頂きたいです」  テレサはベキスタに恐れを抱かず淡々と説得した。それがベキスタに届く事は有り得るのだろうか? ワスはあまり期待せずにその後のベキスタの反応を待った。ベキスタは果たしてどういう反応を示すだろう? 「それで私にのこのこ退けと言うのか? 貴様、それは無礼であろうが!」 「何とでも思って頂いて良いです。少なくとも今、レッドリーダーのお命を救ったのはワスである事は認めるべきでしょう。それともそこまでも否定為さるおつもりですか? そういう所で慢心を見せると、ラクサミーマザー1と同じ運命を辿る事になりますよ」  そういう二人を更に敵の赤色レーザービームの雨が襲い掛かる。ワスはそれを回避しつつ、反撃に出た。テレサのランツォラが脚部ランダムストレートを開放し、ホバーのように使い、敵の接近を拒む。ベキスタのレザはどうやら弾切れを起こしたバズーカ砲を背中にマウントすると、そのままブラスター砲を使いワス達に加勢しようとした。 「私だって、伊達にレッドリーダーを任されている身分では無いんだ。ワス・ライトオンダー君が如何に優れたパイロットで有ったとしてもそれと私の動きに何もリンクする事は無い。私は簡単には墜ちない。それこそガッハクラスのようなマシーンが出て来るまでは、私は生き抜き続ける。それが私の覚悟の現われだ。ワス、テレサ、君達は私に構うな」
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