第7章 愛しているから……

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「湊の……大切な場所だから……守りたい?」 私が湊の……cherry blossom専属のモデルであること……会見で、湊自身が恋人であることを宣言した事実……連日のメディアの報道……世間に公表したのたのだから、智先輩が知ってて、当然…… 「守りたいです」 湊の大切な場所……だからこそ、守りたい。 その気持ちが一番……私の心を占める。 「俺もね……湊の大切な場所……だから奪おうと思った……好きなことを自由にやり、モデルを辞めたと思ったら、今度はファッションデザイナー……その専属モデルが君……どこまで、俺の大事に思うものを奪えば気が済むのか……とね」 智先輩は、穏やかな笑顔のまま……私にそう言った……でも、その笑顔は、さっき見た笑顔とは違っていて……貼り付けた……顔の様だと思った。 「5歳の頃…… 突然父親がいなくなった……『他に好きな人が出来た。その人と結婚したい。彼女のお腹には僕の子供がいる』そう、包み隠さず母親に告げて……当たり前に続くと思っていたものが、父親の心変わりに寄って崩壊した。最初こそ怒り狂っていた母親も、毎月振り込まれる金……結婚していた頃より、遥かに多い大金に目がくらんで、元妻が……愛人に成り下がった。父親にも、母親にも……嫌悪感をずっと抱いていた……でも、俺が心から憎いと思ったのは……湊だった。俺の方が先に生まれたのにっ!父親が選んだのは、俺じゃなくて湊……湊さえいなければっ!……そんな気持ちをずっと、胸に抱えて生きてきたんだ」 ……先輩もまた…… 心に傷を持っている。 でも…… 「悪いのは……湊じゃありません」 湊もたくさん、傷付いてる。 「……分かってるよ……誰が一番悪いのかなんて……でもね……俺も湊と半分……父親の血が流れてるんだよ……色んな女と関係持って子供作っても……父親が一番大事に思う子供は、湊だけ……何人子供がいても……湊より先に生まれたこの俺よりも……湊が一番大事なんだ」 湊は、瓜生の血を引いているから……自分を後継者としか、見ていないって言ってた。 「一番愛する女との子供だから……湊が音羽屋で過ごした幼い頃、何度も会いに行っては、湊の祖母に追い返され……なかなかふたりに会わせてもらえなかったらしい……そう、父親の秘書が言っていた……」
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