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第1章 眼力の引力
いつもと変わらないと思っていた、朝の日常。
突然離婚を突き付けられ、離婚承諾のためなら、望みを叶えると言った夫に、私が要求したものは、高級マンションと、
1千万の慰謝料だった。
別に高級マンションじゃなくても良かった。
住む場所がないと困るし、お金がなけれぱ何も出来ない。
ただ……困らせたかった。
「その……遊び相手に……子供が……」
は……子供っ!?
「彼女がどうしても産みたいって……不倫相手に中絶させたなんて、世間に出回ったら、僕の俳優生命が絶たれてしまうっ!」
いやいや、中絶云々の前に不倫が駄目とは思わないの?
やることやるから、子供が出来るんでしょうがっ?
「僕が今でも愛してるのは、美桜だけなんだ!美桜を手放すのは、僕にとって苦渋の選択なんよ……分かってくれるかい?」
分からないし、分かりたくもない!
「……子供が出来なかったら、どうしてたの?」
「そんなの……今まで通りだよ。適当に遊んで、美桜と結婚生活続けてたよ」
要するに、今回が初めてではない……何人もの女性と関係を持ちながら、私と結婚生活を続けていく……
瞬間、身体中に言い様のない悪寒が駆け巡る。
ほんの数時間前まで、この目の前で訳の分からないことを叫んでる人が、私の最愛の人だった……ことが信じられない。
「要求したもの、今日中にお願いね」
愛が嫌悪に変わり…お金になった。
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