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* * *
それから。
学校のこと、部活のこと、友達のこと、家族のこと、好きなもののこと。
ユウには今日初めて会ったのに不思議とそんな気がしなくて、会話は弾み、気づけば日はもう沈みかけていた。
「――だいぶ暗くなってきたし、そろそろ帰らなきゃ。」
「うん、そうだな。」
俺もさすがにそろそろ帰らないと、帰ってから母さんに叱られそうだ。
「――あのさ、コウキ。」
「ん?」
「また、ここに来てもいい?」
「いいよ。」
「わ、めっちゃ即答された。」
「なんでだよ、断る理由も無いだろ。」
「いや、だって練習の邪魔かなあって。」
「気にすんなよ、そんなの。」
「気にするよ、だってバスケ部の強豪校でしょ。ってことは強いんでしょ。そんな人の邪魔になっちゃったら申し訳ないよ。」
「……。」
俺は、女の子と話したことなんて別に珍しくないし、むしろ多い方だ。
部活中に来て大きな声を出して俺のことを応援してる子たちもいる。
でもその子たちは、ユウのように、バスケの練習の邪魔になっちゃうから、なんて絶対に言わない。
あの子たちは皆、俺の姿を見たいだけだと思う。
彼女たちはスカートを短くしたり、髪を巻いたり、可愛く見せようと頑張っているけれど、そんな女の子たちより、ユウの方がずっと等身大の女の子らしく見えた。
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