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ボールの感触を確かめながら、軽くドリブルをしてみる。
なんだかボールや自分の身体が軽く感じるのは、俺の心が
少し軽くなったからだろうか。
軽いドリブルから、ゴールに向かってシュートを放つ。
バスケ歴もある程度長いから、入るか入らないかはボールを放った時の感覚で既に分かる。
ボールは綺麗な弧を描いて、静かにゴールへと入った。
「……よっしゃ。」
今日イチの綺麗なシュートに、思わずガッツポーズ。
ただのシュート練でゴールを決めただけでこんなにも嬉しいなんて、バスケを始めた頃みたいだ。
身体が軽い。それに心も軽い。
ユウと話す直前まで、あんなにイライラしていたのが嘘のようだ。
――もう少しだけ、練習していこう。
また帰りが遅い、と怒る母さんの顔が脳裏に浮かんだが、今日はそれすらも怖くない。
そして俺はまた、ボールを片手にドリブルを始めるのだった。
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