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顧問の後を着いていくと、夏休みで人気のない校舎の廊下にやって来た。 人気のない校舎内は外とは違って、ひんやりとした空気が漂っている。 運動した後の俺には、とても快適だった。 「お疲れさま。」 「お疲れさまです。」 うちの部の顧問は、30歳になったばかりのまだ若手の先生だが、このバスケ部を何度も全国大会に導いており、中学バスケ界でも注目されている監督だ。 この学校のOBだそうで、うちのバスケ部が全国大会常連の全盛期だった頃のメンバーらしい。 運動部の監督にしては珍しく、決して部員に対して怒鳴ったりはしないが、とても真面目でストイックだ。 秀司に似ているなと、前から思っていた。 「あれから、秀司には会ったか?」 「……いや、会ってないです。」 夏休み初日に秀司がバスケ部を辞めてから、二週間。 毎日のように顔を合わせていた秀司とは、一度も会っていなかった。 夏休み前の夏の大会直前には、一緒に登校したり、メールや電話したりするのもやめていたから、教室と部活以外に顔を合わせる機会はそもそもなかった。 夏休みに入って学校もなく、さらに秀司が部活を辞めてしまった今、関わりは全くない。 秀司の母さんと仲のいいうちの母さんも、何かあったことを察してくれたのか、特に何も言ってこない。 「今、あいつが何をしているのか俺にも分かりません。連絡も全く取ってないですし。」 「……なるほどな。」 先生は、はあ、と小さく溜め息を吐いた。 俺だって、溜め息を吐きたいくらいだ。 .
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