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俺が秀司をライバル視するようになって、あからさまに避けるようになって――それがあいつの気持ちに影響したのかもしれない。
本人に直接聞いたわけじゃない。
秀司も、バスケ部を辞めた理由については、誰にも話していないらしい。
理由について、先生はおろか、秀司の母さんでさえ知らず――それを知る人は誰一人いなかった。
辞めた理由は、いくつかあるのかもしれない。
やっぱり俺のせいなのかもしれない。
……それでも。
中途半端な気持ちでバスケに取り組んでいたことや、やる気のない状態で出た最後の試合でミスをして先輩方に迷惑をかけたことを、許せるわけがない。
だから俺は、謝るつもりなんてなかった。
秀司とはもう……一緒にバスケをやることはないだろう。
あいつはきっと、もうバスケを嫌いになってしまっただろうから。
「……秀司がなんと言おうと、そんなの関係ないだろ。あいつはもうバスケ部を辞めたんだから。」
「光輝……」
太一や他のみんなは何か言いたそうな顔をしていたけど、俺は練習着から素早く着替えた。
「悪い、この後予定あるから先帰るわ。お疲れ。」
みんなの顔は見ないように、極力明るい声でそう言って、部室を後にした。
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