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「あーーー、マジで暑い……」
学校を出た俺は、いつもの公園に来ていた。
いつもは練習後の夕方や夜に来ているから、昼に来るのはかなりレアだ。
まだ日も高い上に、今日は気温がかなり高い。おかげで何もしなくても汗だくだ。
空いているベンチに荷物を置き、その隣に腰を下ろす。
辺りを見回すと、夏休みということもあり、公園は子ども達で賑わっていた。
小学校低学年から中学年くらいの子ども達が多い。
サッカーや鬼ごっこ、縄跳び、はたまた噴水で水遊びをしている子達もいる。
そして、いつも俺が使っているバスケのコートは、高学年らしき子達が使っていた。
……なんだか、懐かしいな。
俺もバスケを始めた頃は、秀司とよく公園でバスケやってたな。
日が暮れるまで無我夢中でボールを追いかけて、気づいたら二人とも門限を過ぎてて、いつも母さんに怒られてたっけ。
でも、毎日毎日練習を重ねていくうちに、どんどん上手くなっていくのが嬉しくて、楽しかった。
それはきっと秀司も同じ気持ちだったはずだ。
「あっ、すみませーーん!」
少し離れたところから聞こえた声に顔を上げると、バスケットボールがこちらに転がってきていた。
男の子が一人、こちらに向かって走ってきている。
転がってきたボールを拾い上げて立ち上がると、ふと、バスケットゴールが目に入った。
ちょうど俺が立っている位置はゴールまで7〜8メートルくらいの距離か。
俺はもうすっかり触り慣れたボールのザラザラの感触を手のひらに感じながら、ボールを構えた。
「えっ」
俺のすぐ近くまで来た男の子が声を上げる。
ボールは俺の手を離れ、我ながら綺麗な弧を描いてゴールへと吸い込まれていった。
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