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子ども達の顔が視界の端に映る。 目を丸くして、口をぽっかり開けて、絵に描いたような驚き顔だ。 ボールはリングに触れて一度弾んだ後、ゴールネットをくぐって、地面に落ちた。 「す、すっげー!!」 「あんなところから綺麗にシュート入るの?!」 「かっこいいー!!」 俺のシュートを見た子ども達が、目を輝かせながら騒ぎ出した。 ……やべ、ちょっと調子乗りすぎたか。 「ご、ごめんな。せっかくボール取りに来たのに。」 ボールを取りに来た男の子に向けて謝ると、男の子は「ううん」と首を振った。 「お兄さんすごいね、ここからシュート入るなんて!お兄さんもバスケやってるの?」 「うん、まあね。」 「じゃあさ、オレたちにバスケ教えてよ!ちょっとでいいからさ、お願い!」 「えー、急だな……でもまあ、いいよ。」 「ほんと? やったー!」 男の子は、「あのお兄さんがバスケ教えてくれるってー!」と大声で言いながら仲間のところへ戻っていった。 …まあ、いいか。別に暇だし。 いつもは一人で練習してるし、たまにはこういうのもいいかな。 「お兄さーん、早くー!」 「はいはい、今行くからちょっと待てって。」 ベンチに置いた荷物を持って、俺も子ども達のところへ向かう。 「兄ちゃんすごいね!あそこからシュート入るなんて思わなかった!」 「バスケ教えて教えて!」 「どうやったら上手になれる?」 子ども達のところへ行くやいなや、彼らに囲まれてしまった。 .
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