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「あー、くそっ!」 イライラして、適当にシュートを放った。 俺の手から離れたバスケットボールは、放物線を描いてゴールへ。 しかしボールはリングに当たってしまい、ゴールに入ることはなかった。 ……まあ、あんなフォームじゃ入るわけがないけど。 「はあ……」 ゴールに入らなかったボールが跳ねる音が、辺りに寂しく響く。 もう6時をとっくに過ぎていて、さっきまでいた子供達もいつの間にか帰ってしまったらしい。 気づけば辺りには誰もいなくなっていた。 ――この駅前の公園のバスケットゴールは、俺がバスケを始めてからずっと使っている。 俺より先にバスケを始めた秀司に少しでも追いつきたくて、密かにこの場所で練習をしてきた。 背も高くて、器用で、昔から何でもできてしまう秀司はやっぱりバスケも上手くて。 最初はただ、あいつに憧れてバスケを始めたんだ。 幼馴染みだし、お互いのことはよく分かってる。だからプレー中の息も合って、一緒にバスケをプレー出来るのは楽しかった。 でも、いつしか『あいつより上手くなりたい』『負けたくない』って思うようになってた。 それを自覚したのは、中学に入ってから。 幼馴染みで親友だった秀司を、いつの間にかライバル視していた俺は、分かりやすくあいつを避けるようになって。 それを、勘のいい秀司はすぐに気づいたのか、あいつも俺と距離を取るようになった。 .
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