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あんな態度取らなければ良かったな……と、今は思う。
秀司がバスケを楽しそうにやる姿がいつの間にか見れなくなった。
ただ淡々と機械のようにシュートを放つ姿は、俺が憧れてたものではなくなってた。
今思えば、あいつの変化は明白だったのに。
それらに気づいたのは、秀司がバスケ部を辞めてからだったんだから、遅すぎた。
「……俺、本当に馬鹿野郎じゃねーかよ……」
仰向けに地面に寝転がって、呟いた。
誰もいないからいいだろ、別に。
でも背中には汗をかいてるし、このシャツは汚れそうだな。
……あ、さっき放ったボール、取りに行ってない。
まあいいや、その辺に転がってんだろ。
今は何も考えずに、こうしていたい。
好きなバスケも、どうもやる気が出ないんだ。
秀司がいなくなって、先輩もいなくなって。
『今このチームで一番上手いのはお前だから。』と、顧問にはキャプテンになることを考えてほしいと言われた。
チームの全員が、キャプテンは秀司以外あり得ないとまで思っていたというのに。
どう考えたって、俺なんかにキャプテンになる資格があるはずないだろ。
どうせなら俺も、バスケ部を辞めてしまおうか――。
「……あの、ボール転がってましたけど、あなたのですか?」
夕焼け空しか見えてなかった俺の視界に、突然バスケットボールを持った女の子が現れた。
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