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「は……?」
いきなりのことに言葉が出ない。
目の前の女の子が持ってるのは、俺の名前が入った、正真正銘俺のバスケットボールだ。
「あれ、このボールに書かれてる『コウキ』って、貴方じゃないんですか?」
「あ、いや、俺ですけど……」
「良かった。このボール、道路の方にまで転がってましたよ。」
「あー、どうも……」
俺は上半身だけ起こして、ボールを受け取った。
……うん、確かに俺のボールだ。
「バスケやってるんですか?」
「まあ……一応バスケ部には入ってます、けど。」
「ちなみに、何処の学校か聞いてもいいですか?」
「えっと、南中の……」
と、俺が言いかけた時、
「えっ、まだ中学生なんですか!?」
「はあ……そうですけど。」
やけに驚かれた。
つうか俺、どのくらいの歳に見られてんだろ。
まだ14歳なんだけど。
「背が大きいから、高校生かと思いました。」
「いや、俺まだ中2だし……」
「わ、じゃあ私と同い年だったんですね。」
いやいや、俺から見たら同い年だって分かるよ。
高校生に間違えられたのなんて初めてだ。
でも、いつもは秀司といたから、あいつの方が大人びてるし、そんな風に見られたことはなかったのかもしれない。
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