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「同い年なら、敬語使わなくてもいいんじゃないか?」 「……あ、確かに。それもそうですね。」 こほん、と咳払いをしてから、 「じゃあ、敬語はやめるね。」 と、にっこり笑った。 どこにでもいるような、そんな感じの女の子だけど。 笑った顔は、結構可愛い。 「あのさ。」 「うん?」 「名前、何ていうの?」 とりあえず、名前くらいは聞いておこうかなって。 ちょっとした興味があった。 俺の周りの女の子は、やけに背伸びしたがるような女の子ばっかりだ。 校則よりスカートを短くしたり、香水なんか使ってみたり。 男子に好かれたいのか、妙に男子とばっかり高い声で話してたり。 でも、この子は違う。 自分を変に飾ることなく、素のままの自分で俺に話しかけてきてくれた。 俺の周りには、いないタイプだ。 「私の名前はね、水無月 遊雨。」 「『ミナヅキ ユウ』?」 「うん。君は?」 「俺は、早川 光輝。」 「『ハヤカワ コウキ』?」 「うん、そう。」 「ハヤカワ コウキね。」 「ミナヅキ ユウか。」 「「……ふはっ、」」 お互いの名前を、お互い呼び合ってみて。 ちょっと照れくさくなって、お互いの顔を見ながら笑った。 .
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