なんて幸せな、ニューイヤーズ・イブ

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 センセイは、基本誰にでも優しい。  僕なんか、ワンオブゼム、だ。 「よく聞け、橘。俺は、ここに、友人すら呼んだことはない」  え? 「俺の言ってること、分かるか?」  今頃になって、急に眠気が襲ってきて、思考がまとまらない。  頼りなく頭を横に振りながら「分かんない」というのが、精一杯だ。 「うちに上げたのはおまえだけだよ。それでも大事にされていないって思うか?」  真剣な眼差しが、僕を射抜く。  嘘は、言っていない。  そう思った。けど。 「センセイ……かっこいい」 「ふっ……何言ってんだ」  僕のとんちんかんな言葉に、センセイが、笑う。 「センセイ、笑った。うれしい」 「おまえがかわいいこと言うからだ」  そう言って、センセイは僕をぎゅうっと抱き締めてくれた。  センセイの胸に顔を埋める。  ずっとこうしていたいよ、センセイ。
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