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祖母は静かに立ち上がると、テーブルに置いてあったタオルで聖人の顔を優しく拭ってくれた。
たった一人の孫が同性を好きだなんて申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「あきちゃんを幸せにしてくれる人なら、おばあちゃんはその人が男性でも女性でも、どちらでもかまわないのよ」
聖人の言葉に全く動じず、寛容に許してくれる祖母に、聖人は逆に驚かされた。
「せっかく好きな人にあげるチョコですもの。あきちゃんの気持ちをたくさん詰め込んでおきましょうね」
「うん……おばあちゃん……ありがとう」
聖人は祖母の言う通り、思いを込めて、初めてにしては上出来なザッハトルテを作り上げた。
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