6人が本棚に入れています
本棚に追加
あぁ、また捨ててる…
包み紙を開け、中身を見た瞬間、すぐにゴミ箱にポイっと捨てている彼を見た時、私はそう思った。
今日は2月14日。好きな男の子にチョコレートをあげる…バレンタインデーって呼ばれている日。
最近は女子同士でチョコをあげ合う『友チョコ』なんてのがあるけど、それでも意中の男の子にチョコをあげる娘がいない訳じゃない。
その証拠に、目の前にいる彼はチョコらしきものを貰っていた。彼、意外と女子に人気あるし、『好きだ』って言う娘もいるのよね。私もその一人だけど。
でも、私が知る彼は貰ったチョコを食べる姿を一度も見せたことがない。グリ○のカフェオレを飲むことはあっても、チョコを食べてるとこは一度も見たことがないの。
何でなのかしら…カフェオレもチョコも似たようなモノなのに、何でチョコは捨てるのかな…?
小学校五年から三年間、バレンタインデーでチョコを貰う度、彼は食べないでポイっと捨てているのを、私は知っている。私も一年目は手作りのチョコを名無しであげたけど、食べずに捨てられたのを見てから作らなくなった。
でも、彼を好きでいることは諦めなかった。そんなので諦めるようなヤワな女子じゃないの、私。
そんな私は彼のことを見続けて、その傍らにいれるように努力をした。何でチョコを捨てるのか…その理由が分かるような気がしたから、かな。
学校にいる間は友達とおしゃべりしながら、バレないように、できるだけ彼の様子をチラ見してた。
給食のデザートで出たチョコレートケーキ、それだけは手を付けずに他の子にあげてたけど、逆にカフェオレをねだり、美味しそうにチューチュー飲むことを知ることができた。
あと、彼は小学校で一番ケンカが強かったから、学生時代は腕が立ったっていう私のイトコに鍛えてもらった。
おかげで、彼がケンカをしていても怖がることなく踏み込めるどころか、その背中を守るようになれるまで近付くことができるようになった。
でもね、私は一番肝心なことを聞き出せずにいた。
最初のコメントを投稿しよう!