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雨に濡れて雑巾の様になっていた。
「あの二人見てよ、
あれはカップルじゃないわね」
京子が二人を指して言った。
若い男女は1メートルほど離れていた。
そしてスタスタと歩く男の後ろを懸命に付いていこうとする女、
遅れると小走りになって離れまいとしている。
素子は二人の少し前で車を止めた。
「ちょっと、
あんたたち、
よかったら乗っていきなよ、
送って行ったげるからさ」
京子がウインドウから顔を出して呼びかけた。
二人は京子の派手な姿にギョッとなって2、
3歩後ずさりした。
ったく、
と言って京子は車から降り後ろのドアを開けて早く乗りなさい! と叫んだ。
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