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若者なら誰もが好きなグループのコンサートだった。
一也も一度は行ってみたかったが友達もなかった。
唯一の頼みは直子の笑顔だけだった。
チケットを買うと何故か嬉しくなった。
しかし、
どういう風に直子に言おうかと
悩んでしまった。
コンサートの日が1週間前、
4日前、
2日前になっても一也は直子に言えなかった。
ほぼ毎日直子は店に来てラーメンを食べていた。
どうも気分悪くされそうで怖かった。
「あとお願い」
女将さんが仕事を終えた。
店内には一也と直子だけが残った。
直子が食べ終わらないうちに一也は小皿に焼き豚を3,4枚切って
どうぞと差し出した。
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