なりたい自分

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エリ「(俺だったら、どう攻撃する?)」 エリは思案する。自分だったらこの状況で、あの砲撃、奥の手、さまざまな情報が頭の中で絡み合っていく。勝ちに繋がる攻撃、敗北に近づく攻撃、ソリティアなように無数に枝分かれする戦い。エリは自身の中に聞き、答えを導き出す。エリは魔力の足場を蹴り、シャドーに向かって落下を始める。 シャドー「想定内!」 シャドーの砲撃は、エリめがけて放射される。まっすぐ伸びる龍を、エリは最小限の移動でかわしていく。2度、3度かわす内に距離は半分ほど埋まる。シャドーの顔から余裕がどんどん無くなる。 シャドー「近づいてきたことを後悔させてやる…!」 エリ「(そろそろだ。ここからはタイミングだ。逃すな、準備は出来てる。)」 シャドー「龍よ!その鱗を解き放て!《スケイルビット》!!」 一匹の龍は無数の魔法弾となって襲いかかる。威力は抑えめだが、ヒカルのビットを越える数が迫り来る。エリは落下の勢いを緩めながら空間を横に広く使う。シャドウは銃身を動かし、エリの動きを制限させていく。 スケイルビットの動きを瞬間で把握しながら避けていくエリ。一発がエリの頬をかする。シャドーは口角が上がった。勝ってると思ったのだろう。そりゃそうだ、あれだけたくさんあれば一発くらい当たる。 エリは冷静だった。かすったことなんてどうでも良い。シャドーに僅かでも油断が生まれた、この事実だけが映った。その油断が命取りだ。愉悦なんて、決着が着くまでいらない。エリは心の中で言葉を述べた。 エリ「(出番だぜ、相棒(スカニャー)。)」 スカニャー『にゃ!』 エリ「(アームド!)」 一人のシャドーとは違い、エリには頼りになる相棒がいる。独り善がりの、過去の自分を越えるには別の強さが必要だ。過去の俺なら『頼るのは弱さ』と思うが、それは違うと今は思う、いや、いままでもずっと思っていた。『頼る強さ』は、可能性を広げる強さだ。 エリの視界にバイザーが装着される。そして、ブーツに炎の模様が浮かび上がる。バイザーがスケイルビットをロックオンする。エリは一番近くを通るスケイルビットを起点に、立体起動を始める。スカニャーの力も借り、不規則な赤い軌道を描き、シャドーの距離をつめた。赤い残像が横切り、シャドーが気がついたときには、既にエリは真横にいてトリガーを引いていた。弾は一発。引き金は、二度引かない。 エリ「弱さも、俺の一部だ。だから、シャドー。俺はお前を忘れない。ありがとう、俺はまだ強くなれるよ。」 スナイパーライフルが消え、エリは息を吐く。心象世界が光りに包まれた。

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