第一話 月の住人

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人身事故で電車が遅れるとアナウンスが流れた。 せっかく早めに仕事を切り上げて会社を出たのに、これで30分は遅れるだろう。 どっと疲れを感じ、晩ご飯は惣菜を買って済ませようかと思案していると、舌打ちする音が背後から聞こえた。 振り返ると眉間に皺を寄せ、うつむいてメールを打っている真剣な表情が、スマホの光を反射して不気味に輝いている。
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