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「あの、なんでそんなに怒ってるんでしょうか?もう大人なんですから」
「アイツにずっと男のマネージャー付いてるか知らないでしょ」
あーそういえば変わっても男の人だな…
「知らないです」
「覚えてない?俺は言ったはずだよ?アイツは手が早いって」
「だからといって私なんか」
「萱島は鈍感過ぎるから分かってないんだよ!男のマネージャーが付く前女のマネージャーは次々に孕まされては中絶させられて…俺も萱島に手出しちゃったけどそれはちゃんと覚悟があって…俺より相当酷いことアイツやってんだよ!」
「え…?」
覚悟ってなに?
っていうか葵君ってあんなに人当たりいい子なのに好青年の皮を被っているということ?
「社長にバレないように自分で全部金出して終わらせる。それがアイツの手だよ」
「なんで社長にバレたんですか?」
「俺がリークしたから。アイツ俺のマネージャーにも手を出して同じことしてた。おかしいと思ったんだ。いきなり辞めて理由は話さない。萱島の前のマネージャーがやっと話してくれた」
今やっと気付いた
今までの葵君についてのKYOUの言ってた意味が。
「俺言ったよね?アイツと二人きりになったら仕事しないって」
今思えばそれは意味が解らない
「そんなわがまま言わないで下さい。一週間だけです。気を付けますから」
「萱島は仕事だけしか頭回らないんだから、気を付けたところで男に敵うわけないだろ!」
もううるさいなぁ
なんでこんなにしつこく
っていうかちょっと失礼じゃない?!
仕事だけって。
どうしたら納得してくれるの?
「じゃあどうすればいいんですか。私なんて相手にされるわけないじゃないですか。別に送り迎えはしなくていいって社長は言ってましたし、スケジュール確認するだけです!」
「何にも分かってないんだから。もういいよ好きにすれば。萱島がどーなってもしーらない」
もう…本当に子供。
ソッポ向いて拗ねちゃった。
なんか淋しいし今の言い方は嘘だとしてもそうじゃないとしても傷つくな…
萱島はファストフード店の駐車場に車を停めると後ろの席へ行きKYOUの隣に座る。
「何かあればすぐ連絡しますから」
「しなくていい。警察にすれば?俺しーらない」
「助けてくれないんですか?」
「萱島が俺の言うこと聞かないからね。警察に言えばきっと助けてくれるよ」
「私はどーなってもいいんですね?」
「だから、110番すればいいじゃん…」
「葵君になにされてもいいんですね?」
「…ししらないって言ってんだろ…ボディガードでも雇えばいい」
「あんなに社長に訴えてくれたのに私の一番近くに居るKYOUは助けてくれないんですね?」
「…だから…やめればいいじゃん」
「仕事です。もし何かあった時あなたの胸で泣きたくても助けてくれないんならあなたの胸で泣けないですね。ただのマネージャーですしね」
「なんでそんな意地悪な事言うの?」
「私はKYOUのただのマネージャーですが四六時中KYOUのこと考えてます。KYOUに何かあったらとかこの前みたいに気付かぬ間に風邪引かせてしまったらとか。ずっと考えてます。何かあった時すぐ駆けつけられるように枕元にスマホ置いて」
こういう素で分かってるようで分かっていないようなところどうにかなんないかな
俺のこと好きって言ってるようなもんじゃん
でもきっと聞いたところで『マネージャーです』とか『仕事です』とか言うんでしょ?
萱島はソッポ向いてるKYOUの顔を両手で挟みグイッと自分の方に向かせて軽くキスをすると彼もそれに応じて暫く彼女の唇を味わった。
何その駄目押し。何しちゃってくれてんの。
早く俺の事好きって言っちゃえばいいのに。
何で言ってくんないんだろう。
同じ気持ちじゃないのかな
「二人きりにならないように努めます。何かあればすぐ連絡します。いいですか?」
「…ん。絶対だよ」
可愛い。
「はい」
もう認めざる得ない
私、KYOUじゃなくて杏一が好きなんだ。
KYOUに迷惑をかけないためにきっとこの先口に出すことはないけれど、
私の出来る範囲で支えていく
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